お客様の多彩なニーズに応え「ベストな旅」を提供する

「集客力やブランド力では、大手旅行代理店にはかないません。かといって、リーズナブルさをアピールするだけでは、限界があります。だからこそ弊社では、『お客様の希望に合った旅行を提案する』という部分で差別化を図っています」
こう話すのは、四谷に瀟洒なオフィスを構える「カモメツーリスト株式会社」企画室室長の関根進さん。
カモメツーリストは格安航空券を販売する小さな旅行代理店からスタート。平成17年頃に海外旅行のパッケージツアーの販売を始め、平成20年からは訪日旅行の募集を本格的に開始しました。現在は、中国人向けの訪日旅行と中国や東南アジアを中心とした日本人向けの海外旅行の2本柱を中心に事業を展開しています。
なお、売上は平成25年度が約32億円でしたが、翌平成26年度には53億円、そして平成27年度には108億円と、驚異的な伸びを示しています。そんな急成長の秘密は、同社ならではのツアー企画にあるようです。

海外旅行のパッケージツアーというと、旅行代理店が用意したツアーの中からしか選べないというイメージがありますが、カモメツーリストではパッケージツアーはあくまでもベースという考え。そこにお客様ごとに異なる要望を採り入れることで、より希望に合った（つまり、より喜ばれる）ツアーを提案しているとのこと。
ツアー企画を作るスピードの速さや、ユニークなツアー内容も同社の特徴と言えます。
「弊社には思いつきでも良いからとにかくツアーを作ってみようという風土があって、スタッフは自由な発想でツアーを企画することができる。そこが面白いところかも知れません」
例えば、通常10日間で回る観光地を3日間に凝縮したツアーなども企画されました。
お客さま一人ひとりに向き合ってそのニーズを徹底的に追求する姿勢とユニークなツアー企画力、これらがカモメツーリストの人気を支える要因のようです。

カモメツーリストの中で海外旅行を担当するのは「海外事業部」、訪日旅行を担当するのが「訪日事業部」です。それぞれのスタッフは、どんな様子で業務に取り組んでいるのか、まずは海外事業部の北田由香里さんに話を聞いてみました。
「前職は添乗員で、この会社に転職するにあたり旅行業務取扱管理者の資格を取得しましたが、実務はまったくの未経験。入社直後は、業界独特の用語や航空券予約システムの使い方など覚えるべきことが多く、とても大変でした。でも、この苦労はいつか自分のためになる！ と前向きに考えて頑張りました（笑）」
一方、訪日事業部で働く菊池佑里亜さんは次のように話します。
「入社間もない頃は外部からの問い合わせはすべて先輩に対応してもらっていたのですが、今は私に直接問い合わせが来ることも多くなりました。それだけ信頼されるようになったということですから、それに応えるためにもっと頑張ろう！ と思っています」

日本人向けの海外ツアーをカスタマイズすることで「顧客ニーズに徹底的に対応する」というカモメツーリストの姿勢は、中国人向けの訪日旅行でも基本的に変わりません。
「日本人が提供したいサービスと、中国人が求めるサービスにはギャップがあるケースが多く、時にはお客様のニーズに合わないこともあります。しかし、弊社の場合は専門の中国人スタッフが対応にあたるので、ズレや誤解が生じにくいのです」（関根さん）。
さらに、中国の大手旅行代理店と契約しているので、安定した集客が見込めるという。
「今後、訪日旅行に関しては、中国だけでなくアジア全体からの集客を目指しています。一方、日本からの海外旅行もアジア中心からヨーロッパやアメリカ、オセアニアへのツアーも企画していく予定です」
このように常に先を見据え、挑戦を続けていく姿勢こそが、カモメツーリストが成長し続けることの源泉だと言えるでしょう。