顧客の話を聞き、一緒に手を動かし考えて、高付加価値の計測機器提供を目指す

「アトセンス株式会社」は新宿区西五軒町にある、主に大手自動車メーカーの研究開発現場で使用される計測器や制御機器、センサなどの製品を提案し、企画製造までを行うメーカーです。得意としているのは、エンジン関係の燃料流量計と角度計測製品のカテゴリー。燃費のよいクルマづくりに欠かせない役割を担う、少数精鋭の専門家集団です。
代表取締役社長の細渕信子さんは、環境規制などさまざまな法規制の変化に合わせて対応しないといけない自動車業界のエンジン部門に目をつけたそうです。「自動車産業界ではその変化に合わせた開発が必須で、そこには今までなかった新しい計測器も必要になります。そこで、『こんなものがあったら自分たちは使うよ』という開発現場の要望をいただき、それに合わせた高付加価値の計測機器を提供することを追求してきたのです」と、2005年の創業以来変わらぬ同社の姿勢を語ります。

同社は現在、自動車業界の新しい変化であるカーボンニュートラルの動きに合わせ、電気自動車を製造する顧客の方にシフトを始め、モーターを開発する企業に向けた計測器の製造を顧客の技術者と一緒に進めているそうです。この際、同社のミッションである「お客様の視点に立つこと」が非常に大切であり、それが人材の育成にもつながっていると言います。
総務部採用担当の松本寿子さんは、「弊社の人材育成は、基本的には先輩について勉強するということですが、最も大事にしていることは、若い技術者や営業マンでも、一緒にお客様のところに行き、話を聞いて学びを得ることなのです」と語ります。
装置を開発するにあたっては産業技術総合研究所（産総研）や大学の先生のもとを訪れて相談することもあるそうで、「大きな企業では体験することができない勉強の機会や刺激をもらうことができるのも、弊社の魅力ではないでしょうか」と続けました。

同社が求める人材は、「人の話がきちんと聞ける人」だと松本さんは言います。そして、「一人で問題を抱え込まないで、みんなで協力しながら問題解決ができるような方が向いていると思います。加えて、いろんな方の話を聞く機会が多いですから、誠意を持って相手を大切にして接することができる方ですね」と付け加えました。
現在、残念ながら同社には女性の技術者や営業担当は在籍していませんが、「私はエンジニア出身なので、女性でも十分に活躍できることは分かっています」と語ります。そして、「社長も私も、子育てをしながら長く仕事をしてきました。女性の長期的なキャリアを私たちはサポートしていきますので、結婚や出産というイベントを経ても働き続けられるようにしていきたいと考えています」と、同社には女性活躍の素地があることを示しました。また外国人採用に関しても、採用の際に、特に男女の別や国籍などを意識することはないそうです。

「アトセンス」は十数人規模の、「会社というよりは大学の研究室のような雰囲気があります」と松本さんは言います。しかしながら、ソフトウェア開発だけをやりたい、CADで図面だけを書いていたい、といったスペシャリストには「少し辛い環境かもしれません」と指摘します。製品を作るために、ソフトウェア開発もやる、設計もやってみたい、勉強してみようか、というような考えが持てる人が活躍しているそうです。
その根本に必要なものは、ものづくりへの興味です。技術職でも営業職でも、同じ部屋で製品を見て、実験をして、検査をするような環境で働いています。「実際に手を動かして作る人でも、頭を動かして考えるのが好きな人でも、苦労はあるけれども、わくわくするような仕事ができ、成長するにはもってこいの環境だと思います」と続け、近い将来に同社の中核となって活躍してくれるような方に、ぜひ同社を訪れて欲しいと呼びかけています。