高精度な3D測量と正確な図面作成スキルで鉄道の高速安全輸送を支えていく

東光測量建設株式会社は創業67年の歴史があり、鉄道軌道内の測量業務およびCADを使った図面制作をメインに行っている会社です。
「保守や新設のための測量は、鉄道の安全輸送に欠かすことができない業務。レールの直線・曲線の計測や、レール幅、カーブ箇所の傾きなど、ミリ単位の非常にシビアな測定が求められます」
そう話してくれたのは、代表取締役の関根友一さんです。より速く・安全に・快適にという鉄道の使命に応えるため、測量の精度も厳密さを増し、現在では高精度な3Dによる測量が主流になっているとか。
「3次元レーザースキャナを使い高精度、高密度の点の情報としてデータ化します。正確な位置情報と高さが測定できる点がメリットです。また作業時間を短縮し、作業の安全性を高めることもできます。弊社の強みは、この3D測量の豊富な実績と正確な図面制作です」
線路の保守のほか、近年は駅の改良やホームドアの設置工事が増加。それに伴い測量のニーズも増えているそうです。

東光測量建設のメインの受注先は東急・小田急・京急・京王の大手私鉄4社で、都心を走る路線ゆえの測量の難しさもあると、関根社長は言います。
「難しいのは作業時間です。終電が遅く、始発は早い。その間の限られた時間で作業をしなければなりません。効率性が求められるなかで、正確で精密な測量をこなす必要があります」
通常は3～4名の班で作業を担当。現場によっては日中に測量を行う場合もあります。また測量後のデータ整理や図面制作も大事な仕事です。
東光測量建設ではどのような人材を求めているのでしょうか？
「グループで作業をするので協調性は必要です。そして『自分達が地図を作っているんだ』という自負を持ち、責任を持って取り組める人。データの正確さは当然のこと、お客さまへの説明も含め、一人ひとりが営業のつもりで誠実に対応することが大事です。そうやって納品した仕事が次の受注につながるわけですから」
未経験、測量知識ゼロで入社する人も多く、測量技術やCADの使い方は、仕事をやりながら覚えてもらうとのこと。国家資格の測量士補試験にチャレンジする際は会社が費用をバックアップ。資格取得で手当もつきます。
「最近は土木系の現場で働きたいという女性が増えているんですよ」と関根社長。
「弊社も女性社員を増やす考えがあり、女性が働きやすい環境づくりに努めています」

次に、現場で測量業務にあたる阪本雄哉さんに話を伺いました。阪本さんは入社して5年目。入社のきっかけはハローワークの紹介でした。
「子供の頃から鉄道の車両が好きで、乗るよりも、外から見ていたいタイプ。だからハローワークで紹介されたとき、おもしろそうな仕事だなと感じました」
測量知識も経験もゼロからのスタート。すぐに現場に出て、先輩がやる作業を見て覚えていったそうです。
「最初は簡単な作業から。徐々に『じゃあ、やってみて』という機会が増えていきました。難しかったのは、三脚を線路内の砂利上に据える作業。手早く水平にする必要があり、コツを覚えるまでは大変でした」
現在は器械の扱いにも慣れ、現場経験も豊富に積んできた阪本さん。一番の成長は、現場への理解が向上したことだと言います。
「何のためにやっているのかを考えて作業ができるようになった。理解が深まると、次にすべきことがわかってきます。効率良く動けるようになりました」
会社の雰囲気は「わりと緩い」と笑います。「人間関係も規則も堅苦しくなく、のびのび働ける環境です」と教えてくれました。

ミリ単位の仕事なので「いい加減なことはできない」と常に意識していると話す阪本さん。やりがいについて尋ねると「軌道内は基本的に許可がないと入れない場所。とくにトンネル区間は外部の人は入れません。この仕事だから経験できる特別なこと」と鉄道好きらしい答えが返ってきました。
また、携わった現場にしばらくして建物や駅構内が出来上がるのを見ると「自分達が測量で出した座標の基準点がもともとの原点だぞとうれしくなる」と語ります。
印象に残っている仕事は、台風被害にあった箱根登山鉄道の復旧作業だとか。
「トンネルの状況確認や線路を敷き直すための測量作業を行いました。運行再開したのを見たときは、復旧に役立てたんだなと手応えを感じました」
受け答えからは、インフラを支えるやりがいとともに、好きな鉄道に携わる充実感も伝わってきました。